沖縄は豆腐の島といわれるくらい昔から豆腐をよく食べてきました。百歳長寿者の三大好物が「豆腐、ゴーヤー、芋」だという調査報告もあります。現在は日本一の消費量です。
島豆腐は堅い、大きい、アチコーコー(熱々)が特徴とされています。堅いがゆえにチャンプルー(季節野菜と島豆腐の炒め物)や豆腐ようが出来ます。また一丁一キロと大きく、現在半丁単位で売られています。このサイズでの需要がある限り、「豆腐の島沖縄」は健在だといえましょう。
島豆腐は、買う人が必ずといっていいほど、豆腐に触って温かいかどうかを試しています。食品衛生法では豆腐は腐敗しやすいことから水さらしを義務付けていますが、沖縄は復帰の時から特例で当時一般的だった水さらししないアチコーコーの豆腐の販売が許されて来ました。水にさらさないことは、傷みやすいのですが、栄養分や旨味の流出がないし、水っぽくならないので、おいしいのです。
最近水さらしをした後パック詰めした豆腐が幅を効かせています。スーパーによってはアチコーコーの島豆腐は売っていない所もあります。これらは衛生上あるいは流通上の結果だと思いますが島豆腐の本当の特徴は、水さらしをしないおいしさではないでしょうか。これは沖縄に与えられた、味の大きな特典だと思います。色々なものが時代とともに姿や味を変えていきますが、水さらししないアチコーコーの島豆腐の味は変わってほしくないものの一つです。
先日、ふだん草(ンスナバー)が手に入ったので白和えを作りました。ふだん草のとろけるような食感に、島豆腐のしっかりした和え衣がまとわりついて、島豆腐ならではの味わいでした。
安次富 順子
- 那覇高15期卒。
- 沖縄の食文化研究家
- 沖縄調理師専門学校(副校長)
- 王朝菓子、冊封使料理の再現。ブクブクー茶の再現と普及活動。著書に『ブクブクー茶』など。